【審決例】不服2021-002342(4条1項8号)[ヨウジヤマモト事件]

出願内容

  • 商標:「ヨウジヤマモト」(標準文字)
  • 区分:第3・14・18・25類
  • 請求人:株式会社ヨウジヤマモト(東京都品川区)
  • 代理人:中村知公、小西富雅、前田大輔、伊藤孝太郎、朝倉美知、西脇眞紀子
  • 審判官:佐藤淳、大森友子、須田亮一

判旨

・本願商標は,「ヨウジヤマモト」の文字を標準文字で表してなるところ,我が国においては,例えば,パスポートやクレジットカードなどに,ローマ字表記で,所持者の氏名を表記する場合には,「名」,「姓」の順で表記されて いるものが少なくないことからすると,氏名を「名」,「姓」の順で表記すること自体は格別特異な態様とはいえない。

・人の氏名や読みを表す際に片仮名で「姓」と「名」の間に空白を配することなく一連に表示することも一般に行われているといえる。

・「ヤマモト」と読む姓氏(「山本」「山元」等)及び「ヨウジ」と読む名(「洋二」「洋司」等)は,日本人にとってありふれた氏又は名であって, 原審において説示のとおり,「ヤマモトヨウジ」と読まれる「山本洋二」, 「山本洋司」等という氏名の者が多数存在している。以上からすると,本願商標は,「ヤマモト(姓)ヨウジ(名)」を読みとする人の氏名を「名」,「姓」の順に片仮名表記したものとして,客観的に把握されるものである。

・請求人と原審において示した氏名を「ヤマモトヨウジ」とする者とは他人であると認められるから,本願商標は,その構成中に他人の氏名を含むものと いわなければならず,かつ,少なくとも当該山本耀司氏以外の,上記他人の承諾を得たものとも認められない。

➡本願商標は,商標法第4条第1項第8号に該当する。

雑感

ちなみに、英文字表記の「YOHJI YAMAMOTO」は既に商標登録されている。

近時、4条1項8号の扱いをめぐる議論は盛り上がりを見せているところ、本件を知財高裁がどのように裁くのか注視したい。