産構審・商標審査基準WG

【商標スクエア】2月16日、産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会第30回商標審査基準ワーキンググループが開催された。

1.新しいタイプの商標に関する商標審査基準の点検について

2015年4月1日に出願受付開始となった「新しいタイプの商標制度」はまもなく7年を迎える。これまでの出願件数及び登録件数は、特許庁公表の資料によると以下のとおりである(2022年1月31日時点の暫定値)。

この間、知財高裁から7件(位置3件、色彩3件、音1件)の判決が出されたが、このうちの6件は商標法3条に関するものであったことから、今回は同条の審査基準の内容と整合しているか否かについて点検が行われた。点検の結果、審査基準の見直しは行われないことになったが、今回の点検対象以外の基準を含め、将来的に見直すことを要望するとの意見が委員から出されたようである。

2.令和2年商標法施行規則改正により適切な保護が可能となった立体商標の出願状況等のご報告

2020年4月1日に出願受付開始となった「新立体商標制度」はまもなく2年を迎える。同制度は、企業等が店舗の外観・内装や複雑な物品の形状をより適切に保護することができるようにすることを目的に導入され、具体的な手続としては、願書に①立体商標を実線、破線等で描き分けること、②「商標の詳細な説明」を記載することが可能となった。これまでの出願件数及び登録件数は、特許庁公表の資料によると以下のとおりである(2022年1月31日時点の暫定値)。

制度の導入前は、新しいタイプの商標に「トレードドレス」が追加されるとして、意匠法の改正と同時並行で議論が進められたが、最終的には立体商標の保護対象の拡張として整理された経緯がある。今回は、特許庁から出願状況及び審査状況の説明がなされたのみで、具体的な議論は行われなかったようである。

立体商標に関しては、「新しいタイプの商標」と同様に、登録の際には出願人よりプレスリリースがなされることがあるほか、マスメディアで報道されたりソーシャルメディアで拡散されたりと注目を浴びる例も少なくないが、権利の効力という面で疑問視する向きもあり、審決例や裁判例の蓄積を待っていずれは審査基準をはじめとする制度面の見直しも必要になるものと思われる。