【商標スクエア】4月15日、特許庁は令和3年度における外国知的財産制度に関する調査研究(産業財産権制度各国比較調査研究)報告書を公表した。7件の研究報告書のうち2件は商標法に関するものであり、「他人の氏名等を含む商標に関する調査研究報告書」と「商標審査効率化・ユーザー出願支援のための指定商品・役務に関する料金等施策及び出願支援ツールについての調査研究報告書」である。
他人の氏名等を含む商標に関する調査研究報告書
《調査研究の目的・背景》商標法第4条第1項第8号においては、構成中に他人の氏名等を含む商標は、人格権(人格的利益)の保護の観点から当該他人の承諾がなければ商標登録できないとされている。近時の審査・審判・裁判においては、本規定が厳格に解され、氏名商標の出願が拒絶される傾向にあるところ、氏名を含むブランド名の保護に欠けるとの指摘がある。そこで、国内外における他人の氏名を含む商標に関する制度及び氏名等に係る人格権について調査し、我が国における他人の氏名を含む商標に関する制度の見直しの要否検討の基礎資料とする。
商標審査効率化・ユーザー出願支援のための指定商品・役務に関する料金等施策及び出願支援ツールについての調査研究報告書
《背景・目的》我が国における商標登録出願件数は増加傾向にあり、特許庁ではこれまで審査処理件数を増加させてきたものの、審査に要する期間が延伸している状況にある。出願件数の増加に継続的に対応するためには、主要国等各国・地域の施策等も参考にしながら、審査効率化に係る施策について検討・実施を推進する必要がある。指定商品・役務に関する料金等施策やオンライン出願支援ツールといった審査効率化に資する制度・運用について、各国・地域の施策を調査し、比較研究を行うことで、我が国の施策検討の際の基礎資料とすることを目的とする。